「親なんだから仕方ない」「私が我慢すればいい」
そう思い続けてきた関係が、実は自分の人生を静かに壊していたとしたら――。
本記事では、母親からの強い精神的依存と支配の中で育った一人の女性の物語をもとに、
・毒親とは何か
・なぜ子どもは親から離れられなくなるのか
・距離を取る決断は冷たい行為なのか
を、心理学的な視点から解説します。
同じように「親との関係が苦しい」「でも離れるのは罪悪感がある」と感じている方に向けて、
心が少し軽くなるヒントをお届けします。
「いい娘」でいることを求められ続けた人生
しほは、幼い頃から母親の感情の受け皿として生きてきました。
両親の不仲、父への愚痴、涙と怒り――
それらを聞く役割を、無意識のうちに背負わされていたのです。
心理学では、この状態を「親子の役割逆転(パレンティフィケーション)」と呼びます。
パレンティフィケーション:
本来、親が担うべき精神的・情緒的ケアを、子どもが引き受けてしまう状態。
子どもは「親を支える存在」になることで、自分の感情や欲求を後回しにする癖を身につけていきます。
しほが
・放課後に友達と遊ばなかった
・進学や就職も実家から通える場所を選んだ
のは、母から離れることへの恐怖があったからでした。
母親の正体――「毒親」とは何か
この母親の特徴は、いわゆる「毒親」の典型です。
毒親とは、子どもの人格や人生を尊重せず、支配・依存・感情のはけ口として扱う親を指します。
この母親には、次の特徴が見られます。
- 子どもの交友関係や恋愛を強く否定する
- 自分の不安や怒りを、子どもにぶつける
- 子どもが自立しようとすると激しく動揺する
- 「親なんだから」「一人にする気?」と罪悪感を植え付ける
特に重要なのは、「私は可哀想」「あなたが悪い」というメッセージを繰り返し送る点です。
これは情緒的支配(エモーショナル・マニピュレーション)と呼ばれる心理的操作の一種です。
恋人の存在が照らした「異常さ」
しほが母との関係に疑問を持てたのは、恋人・司の存在があったからでした。
外部の人間が入ることで、初めて
「それは普通じゃない」
「距離を取った方がいい」
という客観的な視点が差し込まれます。
これは非常に重要です。
共依存関係にある親子は、その関係が異常だと自覚すること自体が難しい。
なぜなら、それが「生まれた時からの当たり前」だからです。
司が示した医療機関の記事は、しほにとって初めて言語化された現実でした。
「距離を取る=親不孝」ではない
しほが最終的に選んだのは、母親と物理的・心理的に距離を取る決断でした。
ここで多くの人が抱く疑問があります。
親を一人にするのは冷たいのでは?
親を捨てることにならない?
しかし、心理学的にはこう整理されます。
- 親の人生の責任は、親自身にある
- 子どもが犠牲になり続ける義務はない
- 自立は裏切りではなく、成長の証
しほが言った
「私はもうあなたの娘じゃない」
という言葉は、感情的な絶縁宣言ではなく、依存関係からの卒業だったのです。
最後に
もしこの記事を読んで、「自分も似た状況かもしれない」と感じたなら、それは弱さではありません。
むしろ、自分の人生を大切にしようとしている証拠です。
親を嫌いになる必要はありません。
恨む必要もありません。
ただ、自分の人生を取り戻す距離を選んでいいのです。
誰かの感情を背負い続けなくても、あなたは幸せになっていい。
しほが飛行機に乗ったように、あなたにも、これからの人生へ向かう搭乗口があります。

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