【新人研修の罠】「3人のレンガ職人」の美談に潜む“やりがい搾取”。経営者が本当に雇うべきは「怠け者」だった!?

叱咤激励する社長 生き方

今回は、新人研修などで必ずと言っていいほど使われる有名なイソップ童話(ピーター・ドラッカーの著書にも引用されていますね)である「3人のレンガ職人」のお話です。

この話は「仕事へのモチベーションアップ」の文脈でよく語られますが、今回はそこに隠されている「やりがい搾取」という怖い側面と、実務の現場において経営者は3人のうちどのタイプを雇うべきか?という、少し現実的でシビアな話をしてみましょう。

研修で語られる「3人のレンガ職人」の美談とは?

まずは、元ネタである「3人のレンガ職人」の小話を振り返ってみましょう。

建設現場でレンガを積んでいる3人の職人に、「あなたは何をしているのですか?」と尋ねたときの答えと、その後の結末です。

  • 1人目の職人(目先の作業しか見えていない人)「親方から命令されたから、仕方なくレンガを積んでいるんだ」
  • 2人目の職人(壁を見ている人)「家族を養うために稼がないといけない。早く技術を身につけて、もっと待遇が良くて楽な仕事に移りたいんだ」
  • 3人目の職人(大聖堂の完成を見据えている人)「私は歴史に残る大聖堂を造っている。完成した暁には、ここで人々が祈りを捧げる姿が目に浮かぶ。この仕事は私の『天職』で、本当に楽しいよ」

【10年後の後日談】

10年後、仕方なくやっていた1人目は相変わらず同じようにレンガを積み、待遇を求めた2人目はより条件の良い職場へ移っていきました。

そして「天職だ」と語っていた3人目は、リーダーとして多くの職人を束ね、大聖堂が完成した際には現場監督として歴史に名を残した……。

新人研修の講師は、新入社員たちに向かってこう締めくくります。

「君たちも、3人目のように仕事の目的と価値を見出し、天職だと思って働きなさい。そうすれば将来リーダーとなり、大きな成果を残せますよ」と。

美談の裏にある「現実」と「やりがい搾取」

しかし、実際のビジネス現場にはシビアな現実があります。

当時の彼らを現代の新入社員に置き換えてみましょう。現場でレンガを積んでいる時点では、3人とも一番下っ端のただの「作業員」です。

そして重要なのは、「3人とも賃金は同じ」だということです。給料をもらう側が同じということは、払う側(会社)から見れば、彼らが心の中でどういうモチベーションで働いていようと、生み出している成果に差はないのです。

ここからが本題です。

会社側が新入社員に対して「自分はこの仕事を通して社会の役に立っているんだ!と思い込んで働きなさい」と強要すること。

これこそが、現代で言うところの「やりがい搾取」に他なりません。

実務の現場において、従業員という立場で「この仕事は天職だ!」と心から思って働いている人は、実はほとんどいません。

本当に自分が世の中に価値を与えたい、自分のやりたいことを実現したいという「天職」の熱量を持っている人は、大抵自分で会社を起こして経営者になっています。

大多数の従業員は、1人目や2人目のように「業務だから仕方なく」「生活のお金のために」働いています。しかし、実はそれで全く問題ないのです。

経営者が本当に雇うべきは「天職肌」より「グータラ肌」?

経営者の視点として、いやいや仕事をしている、あるいは「楽をしたい」と考えている人たちを大賛成しています。むしろ「天職だ」なんて言ってほしくないくらいです。

なぜなら、仕事を「天職」だと思い込んでいる人は、仕事が大好きで没頭するあまり、手作業での長時間労働を苦にしない傾向があるからです。

実務において、経営者が求めているのは長時間労働ではありません。

本当にイノベーションや技術革新を起こすのは、皮肉なことに以下のような「グータラな人たち」なのです。

  • 「手作業でやるのは面倒くさいな」
  • 「どうにかして自分が楽できる仕組みを作れないか?」
  • 「この作業、自動化できないかな?」

彼らは「自分が働きたくない・楽をしたい」という強烈なモチベーションを持っています。だからこそ、便利な機械を導入したり、ITシステムで自動化したりと、手作業からの脱却を本気で考えます。

結果として、短い時間で同じ(あるいはそれ以上の)成果を上げる仕組みを作り出し、会社の生産性を劇的に向上させてくれるのです。

まとめ:中小企業の生産性向上のカギ

経営の現場、特に中小企業において日々話し合われているのは、「従業員のやりがいをどう高めるか」以上に、「どの機械やシステムを導入すれば、現場が楽になり、ミスがなくなるか」という具体的な投資の話です。

精神論だけで生産性は上がりません。

新人研修では「3人目のレンガ職人のように天職だと思って働きなさい」と教えつつも、経営する側としては「いかに楽をするためのイノベーションを起こすか」を考えてくれる従業員の方が、実はありがたい存在なのです。

中小企業は生産性が低いとよく言われますが、それは従業員のモチベーションの問題ではなく、便利なシステムや機械への投資・自動化を怠り、いつまでも手作業の長時間労働に依存しているからです。

「3人のレンガ職人」の美談を鵜呑みにせず、一度逆の視点から「経営」や「働き方」を見直してみてはいかがでしょうか。

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